ちなみに、8月17日の中央財経委員会会議では共同富裕の促進のほか、重大な金融リスクの防止・解消、金融の安定的な発展が議題となっていた。当局が意図して1年がかりでつぶしにかかっている不動産バブルである。
6月末現在、広州富力地産(香港・02777)は3指標すべて、恒大集団、緑地控股集団(上海・600606)が2指標でレッドラインを超えている。投資家が不安になる気持ちはわかるが、恒大集団をはじめ各不動産企業の債務状況について、当局は完全に把握しており、ストレステスト、倒産させた場合のシミュレーションなどもしっかりと行っているはずだ。
株式市場は今後も暫く冷静さを失った状態が続くかもしれない。しかし、中国は社会主義国である。国家が計画的に用意周到に不動産バブルを潰す方針だ。恒大集団や、他の不動産開発企業の破綻がきっかけで金融危機が発生する可能性は低いのではないだろうか。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。