トレンド

知っておきたい台風情報の活用術 「予報円」「複数の経路予想」の使い分け

台風の見通しについて説明する気象庁の予報官(時事通信フォト)

台風の見通しについて説明する気象庁の予報官(時事通信フォト)

 季節は夏から秋へと変わり、本格的な台風シーズンが到来している。例年、全国各地で暴風や大雨の被害が多発しているだけに一層の備えが必要となるが、様々な台風情報をどう読み解けば良いのか。海外と国内の情報の違いや活用方法について、気象予報士の田家康さんが解説する。

 * * *
 気象関係者にとって、「魔の9月26日」という言葉がある。1954年の洞爺丸台風、1958年の狩野川台風、1959年の伊勢湾台風と、歴史に残る3つの大型台風が上陸した日だからだ。近年では、2018年9月30日にに和歌山県田辺市に上陸した台風24号や2019年10月12日に静岡県伊豆半島に上陸した台風19号(東日本台風)は大きな被害をもたらしており、これからが台風シーズン本番といえる。

 この20年で気象予報の技術は大幅に向上した。これに伴い、台風情報も様々なものを入手できるようになった。太平洋西部で発生し日本列島付近に向かう台風の動向といえば、かつては気象庁の独壇場であった。しかし、世界各地の気象官署や研究機関は「全球モデル」といって、地球全体の気象をスーパーコンピューターにより2週間程度先まで予測するシステムを完成させている。つまり、欧州やアメリカなど、世界中の気象官署が日本周辺の台風の進路を予測しているのだ。海外と気象庁それぞれの情報について、どんな特徴があるのか、そしてどんな使い分けが必要なのか、頭に入れておくことは有用だろう。

 まず、お馴染みの気象庁は、2019年4月から132時間(5.5日)先までの台風の進路予報を開始している。色々なケースを想定して進路の集団を描く「アンサンブル予報」をベースに、台風が円内に入る確率が70%と予想される「予報円」で図示している。台風発生後は3時間置きに発表される。

 次に、海外の台風情報に目を向けると、代表的なものとして欧州中期予報センター(ECMWF)と米軍の合同台風情報センター(JTWC)がある。それぞれホームページで台風情報を発表しており、多くの人がSNSなどで予報図を紹介していることも多い。Twitterで「台風 ECMWF」「台風 JTWC」などと検索すれば、すぐにいくつものツイートが見つかるはずだ。

 ECMWFの台風進路は通常10日先までを示している。進路は気象庁と同じくアンサンブル予報だが、予報円ではなく複数の経路予想で示している。一方、JTWCは5日先までの進路予想を1本で描いている。円周のような形は暴風域などの風の強さを示したものであり、気象庁の予報円とは異なる。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。