新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気低迷を背景に金価格が上昇する局面も見られたが、昨年はプラチナ価格も40%ほど上昇している。プラチナは金と近しい実物資産としての印象を持つ人もいるだろうが、ではプラチナ相場と金相場はどのような違いがあるのだろうか。カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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金は資産保全における利用価値が高いと、投資家から一定のニーズを集めています。金の生産量がよく50メートルプール3杯分くらいと言われていますが、プラチナの生産量はさらに少なく、金以上に希少価値が高いものとして知られています。2000年代にはプラチナとパラジウム相場でバブルが発生し、金よりもプラチナ価格が高騰することもありましたが、リーマン・ショックを境にプラチナ価格は急落し、2010年代は上値の重い状態が続いていました。
コモディティという大枠では、似たような価格推移をする印象もありますが、プラチナや金の利用価値はそれぞれ異なるため、その実需動向によって値動きにも差が出てきます。
プラチナがどのようなものに利用されているか、ご存じでしょうか。プラチナは宝石やアクセサリーの利用以外に、工業用の素材として燃料電池や自動車の排ガスを抑える触媒などに活用されています。
自動車触媒としてはプラチナの他に、パラジウムも使われています。この両者の触媒用途は異なっており、プラチナはディーゼル車、パラジウムはガソリン車の触媒として利用されています。2015年にヨーロッパでディーゼル車の排ガス不正処理事件が発覚し、ディーゼル車の需要が低迷したことで、ガソリン車需要が高まりました。元々はプラチナ価格はパラジウム価格よりも高かったのですが、この流れを受けてプラチナ価格が低下しパラジウム価格が上昇するという、逆転現象が起こりました。
なお、金は景気後退時におけるリスクヘッジの手段として利用されるシーンが多く、そうした需要は継続しやすいと思われますが、プラチナは資産保全商品としての側面より実需に値動きが左右されることが多いです。そのため今後、中長期的に価格が上昇するかどうかを判断するためには、金とは別の視点で相場を見る必要があるでしょう。市場関係者の中にはプラチナ価格が上昇していくことは期待しづらいと考える人もいるようです。
このように実需で動く商品は為替相場などの取引とは少し異なるように感じるかもしれませんが、他の商品と同じようにチャート分析をメインにトレードすることで、収支向上につなげることは十分可能だと思います。チャートから価格動向を徹底的に調べ、利益を出すためのパターンを発見して自分自身のトレード手法に落とし込んでみてはいかがでしょうか。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)