1990年代半ばをピークに、年々減少傾向にあるパチンコ・パチスロの参加人口。公益財団法人・日本生産性本部の余暇総研が発行する『レジャー白書2021』によると、2020年のパチンコ・パチスロ参加人口は2019年から180万人減って710万人となり、過去最低を更新した。一方で、動画サイトでは「パチンコ実践動画」が花盛りだ。そういった時代の流れについて、パチンコ・パチスロ業界に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏は、こう話す。
「ユーザーの減少は、コロナ禍で休業するホールも多かったことが強く影響した結果です。また、射幸性が高く人気のある旧機種がホールから消えているのも、減少の一因となっていると思います。特にパチスロの現行の6号機については、“勝てない”というイメージが強く持たれており、コロナ禍を機に“足を洗った”というユーザーも多いようです」
家でパチンコやパチスロを“観て楽しむ”という人が増えている実態については、こう分析する。
「現在、パチンコ、・パチスロに関するコンテンツは、ネットがメインの提供場所となっています。機種の“解析”などについては、かつては専門誌を読まないと知ることができなかったのですが、今はネットで検索すれば、そういった情報を得ることができます。そして、専門誌に記事を書いていた“パチンコライター”“パチスロライター”による実戦動画がYouTubeに多数アップされているほか、パチンコ・パチスロ専門のYouTuberも多い。タレントが出演するパチンコ、パチスロのネット番組もたくさんあります。ちなみにパチンコ・パチスロ専門誌も、DVDを付録にしているケースが多いです」(藤井氏)
パチンコは打ったことないけど実践動画を見る人
そんななか、パチンコ・パチスロを一切打たないのに、動画でだけで楽しんでいるという人も少なくないようだ。神奈川県に住む20代会社員の女性・Mさんはこう話す。
「もともとお笑いが好きで、芸人さんが出ているYouTubeの動画をよく見ていたんですが、おすすめのなかに、芸人さんが出ているパチンコ動画を見つけたんです。それを観てみたら、想像以上におもしろくて、パチンコ・パチスロ動画にハマってしまいました。でも、実際にパチンコ屋さんに行って打ったことは一回もありません。パチンコのシステムというか、ルールもイマイチ分かっていないんだけど、芸人さんがパチンコで一喜一憂している姿を見るのが楽しいんですよね。芸人さんの素が出ている感じがいい」(Mさん)