独身のときは「結婚すればいいのに……」、結婚したらしたで「結婚しているのに……」「子供がいないから……」「子供がいるのに……」など、とかく「結婚」「子供」に関する“枕詞”が付きがちだ。令和の時代、“結婚して子供を持つのが当たり前”という価値観は過去のものとなりつつあるが、完全に払拭されたわけではない。結婚・家庭に関する古い価値観を押し付けられて、苛立ちを感じたことのある人は多いようだ。
「あいつも結婚すれば変わるのに」
「結婚のイメージはまだまだ昭和的というか、令和になってもそんなこと言っているのかと呆れることは結構あります」
そう話すのはメーカーに勤務する40代女性会社員・Aさんだ。ごく最近、職場で同僚の既婚女性が、「鬱」と診断された話で持ち切りになった時のことだ。同僚たちの言葉に違和感を抱いたという。
「みんな口をそろえて、『えー、結婚してるのに何でー』『旦那さん優しい人なのにー』など、まるで“結婚している人は鬱にならない”か、“話を聞いてもらえるはずなのに”といった感じでした。もちろんパートナーがいることは心強いでしょうけど、鬱が防げることとは別問題だと思います。もしかしたら、私たちが知らないだけで、夫が遠因ということもあるわけですし」(Aさん)
他にもある。Aさん自身は既婚者で子供もいるが、50代の男性上司とその部下の30代男性のやりとりを聞いて、「ゾッとした」そうだ。
「社内に、体調に不安がある独身男性がいるのですが、上司が『あいつも結婚すれば変わるのになあ』と話していました。上司自身は、『オレは妻が作った食事で体調がよくなった』とかなんとか言ってましたが、知らんがなって感じです。数年前に結婚したばかりの部下男性も上司に同調しながら、『結婚したら病気をしても安心。子供も生まれたので老後も心配ない』と笑っていました。女性を何だと思っているのか……。女性は病気をしないし、男性よりもれなく長生きをするものといった思い込みが恐ろしかったです。子供に関しては正直ドン引きしました。私は子供に迷惑をかけないように死にたいのに」(Aさん)
既婚女性がおしゃれしただけで「浮気?」
IT企業に勤める30代女性・Bさんは、日常生活の中で「子持ちなのに」「ママなのに」という圧力を感じることが少なくない。
「夫が育児も息抜きが必要だと、1人になれる時間をくれました。久しぶりに出かけて、ちょっとしたネイルをしただけです。すると、久しぶりに会った学生時代の友人から、『おしゃれして、浮気?』という言葉が出てきてびっくり。親からも『母親なのに派手なのは問題』と言われてしまい……。ママになったら落ち着いた服装みたいな風潮って、まだあるんですね」(Bさん)