精神科医の樺沢紫苑さんによれば、脳科学的には、幸せは3種類ある。
「幸福を感じているとき、さまざまな脳内物質が分泌されます。身の安全や健康が保たれていて『やすらぎ』を感じているときは“幸福物質”とも呼ばれるセロトニンが。人や動物と触れ合って愛情を感じるなど、『つながり』による幸せを感じると“愛情ホルモン”のオキシトシンが。
そして、仕事で成功したり欲しいものを手に入れたりして『達成感』を得ると、“やる気の物質”のドーパミンが分泌されます。お金を手に入れたり、買い物をしたときの幸福感はこれにあたる」(樺沢さん・以下同)
多くの日本人が想像する幸せは、この「ドーパミン的幸福」なのだ。ドーパミンの持続時間は短く、たとえ大金を手に入れたとしても、その幸せは数か月しか続かないという。
「たとえば、30万円のバッグを買うと、大きな達成感、満足感を味わいます。もちろん、幸福な状態だといっていい。ところが、その幸福感は徐々に薄れていく。そのうち飽きて、もっと高価なものが欲しくなる。ドーパミンは依存の原因物質なのです」
持続時間が短く、くせになるからこそ、「あの幸福感をもっと味わいたい」という気持ちをかき立て、仕事や学業を頑張るモチベーションにつながるメリットもある。だが、それにお金が絡むと、金銭欲や物欲が際限なく膨れ上がり、稼いでも稼いでも満たされなくなる可能性があるということだ。