気になるのは、壁に穴を開け、懸垂していることがどうしてわかったかです。工事音が聞こえても、戸境壁の表面に貼ったボードは共用部分ではなく、ボードの穴開けだけでは専有部分の変更です。もっとも、専有部分の変更でも程度によっては共用部分に影響することがあります。
そこで多くのマンションでは、専有部分に物を取り付けたり、取り替えるときには管理組合に届け出て工事するよう管理規約で定め、必要な場合は管理組合が調査できるなどとされています。また、マンション全体の安全や秩序維持を管理組合の業務とする規約も少なくありません。
管理規約にこうした規定がある場合は、管理組合に相談して調査してもらい、戸境壁に穴が開いていれば、管理組合から修復工事を要求してもらうことも期待できます。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座、B型。
※女性セブン2021年11月4日号