住まい・不動産

100年以上住んでいる借地で突然の立ち退き要求 従う必要はあるのか?

当時の契約書は存在しない…(イラスト/大野文彰)

当時の契約書は存在しない…(イラスト/大野文彰)

 先祖代々100年以上住んでいる借地の地主から立ち退きを迫られた──。そんな絶望的なケースの解決策について、弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 わが家は持ち家なのですが、先祖代々100年以上借地で暮らしています。当時の契約書はありません。20年ほど前に地主の代が替わり、突然、これまでの5倍の地代を要求されました。そのときは両親が争いたくないというので、その通りに支払うことに。現在は両親が亡くなったので減額のお願いに行ったところ、「土地を半分返せ」「立ち退き裁判をする」などと言われ、困っています。どうしたらよいでしょうか。(徳島県・55才)

【回答】
 100年を超えた借地には旧借地法と借地借家法の適用があって、いろいろ検討すべき点があります。まず、地代額です。20年ほど前に地代を5倍に増額したとのことですが、増額幅は極めて大きいものの、合意による地代ですから有効です。あなたはこのたび、その減額を求めたそうですが、古い借地にも適用がある借地借家法では、地代額の改定を求める制度があります。改定は土地の固定資産税などの税金や土地その他の経済事情の変動、付近の類似の土地の地代に比べて不相当になった場合に認められますが、支払い能力がなくなったことは理由になりません。

 しかし20年ほど前は、不動産バブルが弾けた頃で、税金や地価がいまより高かった所もあります。あなたの借地がそうであれば、ある程度の減額が認められる可能性があります。そのためには、まず簡易裁判所に調停を申し立て話し合い、まとまらないときは減額請求の訴えを地方裁判所に提起することが必要になります。

 次に土地の返還を求められている点ですが、古い民家だと木造建物だと思います。契約で特に期限の定めがなかったり、期間が20年未満の場合、旧借地法の原則では契約期間は30年になります。その後は20年の期間の借地契約として更新され、以後、繰り返していきます。

 契約開始が100年前で期間の定めがなかったと仮定すると、契約期間はいまだ10年あります。契約期間中に土地の返還を求めることはできません。また期間が満了した場合でも地主が自分で使用する必要があるなどの正当な事由があって、なおかつ期限到来後、遅滞なく使用継続に異議(更新拒絶)を述べないと更新されます(法定更新)。

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