投資情報会社・フィスコが、株式市場の10月25日~10月29日の動きを振り返りつつ、11月1日~11月5日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は小幅反発。週間の上げ幅は87.84円(+0.30%)となり、終値で29000円を回復することはできなかった。衆院選投開票を前に持ち高を一方向に傾ける向きは少なく、決算発表の本格化に伴い、週を通して個別株物色が中心の相場展開となった。
週前半は政局動向を材料に一進一退の展開に。週初は、週末の討論会でのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長のインフレリスクへの言及が警戒感を誘うなか、前の日に投開票された参議院静岡選挙区の補欠選挙で自民党候補が敗れたことが衆院選への警戒感を高め、売りが先行、日経平均は204.44円安となった。しかし、翌26日には米ハイテク企業の好決算が投資家心理を支えるなか、自民党が単独過半数を取れる見込みと一部で報道されたことで、衆院選を巡る政局不透明感が後退。一転して一気に買い戻されると、日経平均は505.60円高の29106.01円と大幅反発で29000円を回復した。
しかし、その後は米国の主要企業の好決算を受けたNYダウやS&P500指数の史上最高値更新などを背景に、全般底堅く推移するも、衆院選投開票を前に方向感に欠ける動きが続いた。27日は香港ハンセン指数を中心にアジア市況が軟調ななか午前に大きく下げたかと思えば、午後は一転して買いが優勢となり、日経平均は7.77円安とほぼ横ばい。28日は、決算を受けたファナック<6954>やエムスリー<2413>の急落のほか、中国上海株の下落を背景に、日経平均は278.15円安となったが、SCREEN<7735>や信越化<4063>などの好決算銘柄は買われ、一方的に売り込む流れにはならなかった。
週末は、米バイデン政権が1.75兆ドル規模の経済対策の枠組みを発表した一方、増税規模が想定内にとどまったことが投資家心理を改善させたものの、引け後に決算を発表したアップル、アマゾンの米大型ハイテク株が揃って時間外取引で下落していたことが嫌気された。ハイテク株が売られるなか、前場の日経平均は一時28475.06円まで大きく下げたが、衆院選投開票を直前に持ち高を一方向に傾ける向きは限られ、急速に下げ渋ると、後場開始の際には一時29000円を上回った。その後は戻り一服となり、上げ幅は縮めたが、キーエンス<6861>やソニーG<6758>の好決算も下支えとなるなか、72.60円高の28892.69円で大引けた。
今週の日経平均は上下に振れ、方向感を見出しにくい展開となりそうだ。衆院選投開票の結果のほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)、企業決算、米中経済指標などイベントが多く、消化するにあたって複雑な展開が想定される。
まず、衆院選投開票の結果を吸収するため、週初から値動きが激しくなりそうだ。事前の各種メディアの報道では自民党が単独過半数を取れるかの攻防と伝わっていたため、単独過半数を取れていれば、今後の政権運営安定化を好感して、海外勢の先物主導での買い戻しが入りそうだ。一方、自民・公明両党の与党で過半数を維持できても、自民党単独で過半数を取れなければ、ヘッドラインに反応した短期筋が仕掛け的な売りを入れる可能性もある。ただ、ある程度は事前に織り込まれているため、派手な反応には至らないと考えられる。可能性は低いが、仮に、候補者を一本化した野党連合が想定以上に躍進し、与党が過半数を割るようなことがあれば、相場は大荒れとなろう。