11月2日からの米FOMCにも注目。今会合で量的緩和政策の縮小(テーパリング)の開始が正式決定されることはほぼ確実だろう。開始時期は11月か12月からが想定され、11月開始で決まったとしても市場の反応は限定的と思われる。一方、世界的なエネルギー価格上昇や米労働市場での賃金上昇を背景にくすぶるインフレ懸念に対するパウエルFRB議長の言及が注目される。FRB内では一部の高官が、もはやインフレに対して「一過性」という言葉を使うのを禁止すべきとも発言しており、会合参加者全体の中でも徐々にインフレの長期化を認める方向に転じつつある。
市場は早くも来年の利上げまで織り込みはじめており、パウエル議長のインフレや利上げに対する考え方の微妙なニュアンスの変化を嗅ぎ取ることが求められる。基本的には、ハト派姿勢の強いパウエル議長のことを踏まえれば、波乱なく通過することが見込まれ、最高値圏にある米主要株価指数のトレンドを維持することになりそうだ。
そのほか、日本企業の決算発表が本格化しているため、基本は先週に続き、決算を受けた個別株物色が中心となろう。3日が文化の日の祝日で立会は4日に限られるが、それでも週を通して600社程の決算が予定されており、特に日本製鉄<5401>やトヨタ<7203>の決算が注目される。振り返れば、8月に大幅な減産を発表して株価の急落したトヨタが、世界的な供給網混乱の影響を懸念するきっかけとなった。トヨタの決算で、挽回生産など下期に対する強気な見通しが示されれば、供給網混乱の緩和への期待から製造業全般があく抜けに向かう可能性も期待されるため、注目したい。
そのほか、経済指標にも注目。中国では財新が発表する10月製造業購買担当者景気指数(PMI)が予定されているほか、米国では、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する10月製造業・非製造業景気指数、9月製造業受注、10月ADP雇用リポート、10月雇用統計などが予定されている。
米国では、交渉が行き詰っていた歳出案について当初の計画から半減はするものの、1.75兆ドル規模とする枠組みが決まった。これは主に子育て支援や気候変動対策を柱にしたものだが、こちらの交渉進展に伴い、これとは別に下院での採決が滞っていたインフラ法案も今後可決に向かう見通しとなった。米国で経済対策への期待が高まるなか、良好な経済指標で順調な経済回復が確認されれば、広く景気敏感株の買いにつながりそうだ。
なお、今週は11月1日に10月新車販売台数、中国10月財新製造業PMI、米10月ISM製造業景況指数、2日に日銀金融政策決定会合議事要旨(9月開催分)、米FOMC(~11月3日)、3日にパウエルFRB議長会見、米10月ADP雇用リポート、米10月ISM非製造業景況指数、米9月製造業受注、4日に米9月貿易収支、5日に9月家計調査、米10月雇用統計などが予定されている。