あるいは、自分は海外で仕事する気もないし、日常的に英語を使う場面はないから勉強する必要はないという人もいるかもしれない。だが、人口が減少して需要が縮小していく日本で国内市場だけを相手にしていたら企業はジリ貧になるので、これから必要とされるのは英語が駆使できて海外市場を開拓できる人材である。
たとえば、すでにドイツ企業や韓国企業では英語ができないと出世できないため、それが国民全体の英語レベルを押し上げる原動力になった。バルト三国やベラルーシ、ウクライナなどの英語力が高くなったのも、国民が「海外に出て稼がなければ(自国では)明るい将来はない」という状況に置かれたからである。日本人もそういう危機感を持ち、学習指導要領に縛られた学校の授業にとらわれず、自分なりの勉強法を工夫して、世界で戦える英語力を身につけねばならないのだ。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は『世界の潮流2021~22』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『新・仕事力 「テレワーク時代」に差がつく働き方』等、著書多数。
※週刊ポスト2021年12月3日号