池袋でバーを営むSさんは、バーテンダー歴10年超のベテランだが、「飲兵衛は本当に難しい」と語る。
「ウチはモルトウイスキーの品揃えが自慢で、それを目当てに遠方から来て下さる方も多いのですが、水割りの濃さは本当に難しいですね。同じ『濃いめ』『薄め』でも、人によって『濃すぎる』『薄すぎる』と怒られるのは当たり前。何も言わない人には少し濃いめで出しますが、それで怒る人もいるんですよ、『酔っ払っちゃうだろ!』とか言って。お酒を飲みに来て、薄くて怒られるなら分かりますが、濃いのはサービスなんですから、怒らないで欲しいです」(Sさん)
前出のKさんも「客へのサービス」がクレームにつながるケースを嘆く。
「ウチは麺類もご飯物も量は多め。1000円近くも払ってお腹いっぱいにならないようなご飯は出せないと思っているからです。けど、『多すぎる』っていう文句を言う人もいるんですよ。残したくないって気持ちも分かりますけど、こっちは心意気で多めに出してるんだから、それで文句を言われると、本当にイヤになるんですよね。ウチはそういう店なんだと分かってもらうしかないですね」(Kさん)
なお、ここで話を聞いた店主たちは「いろんなクレームを受けた」と語る点では共通しているが、「安すぎる」というクレームだけは聞いたことがないそうだ。