「生まれたときの条件や環境で、その人の人生が決まるのではないか」という疑念や不安感をソーシャルゲームのくじ引きに例えた“親ガチャ”という言葉が若者を中心に流行語となっている。親の収入や、生まれた場所などが、その後の人生に影響し、そしてそれらが“地域間の格差”につながっているのだ。
特に地域間で格差が広がりやすいのが「教育」だ。地方出身だと都市部の子供より学力や学歴達成面で一定の格差があると指摘されている。また、地方と比べると都市部の方が圧倒的に出会いも多く、人口動態統計月報年計(2016年)によると、婚姻率は東京、神奈川、大阪の順に多く、鳥取、島根、高知がワースト3となっている。
進学や就職、恋愛や結婚……地域間で格差が生じるこれらのトピックスはいずれも、人生において重要な位置を占めている。しかしそれも、命と健康な心身があってのもの。
「現状では、都会の方が圧倒的に犯罪に遭遇しやすい」
そう指摘するのは、防犯対策専門家の京師美佳さんだ。
実際に警備会社のアルソックが刑法犯の認知件数と都道府県の人口から「犯罪遭遇率」を試算したところ、大阪、兵庫、埼玉、東京の順に高いという結果になった。犯罪遭遇率が最も高い大阪は、129人に1人の割合で犯罪と遭遇している一方、最も低い岩手県は484人に1人。約4倍の差がある。
「犯罪者の心理を考えると、人込みに紛れやすい都会は逃走経路を確保しやすい。また見かけない人が地域をうろついても怪しまれず、都会はよくも悪くも“他人にかかわらない風潮”が犯罪の温床になっています。他方で田舎は人が少なく、知らない人がいたら『あの人は誰だ?』とじろじろ見られる。実際に警察庁が泥棒に『何があったら犯罪をあきらめるか』と聞いたら、『人の目・視線』がトップでした。田舎によくある“じろじろ目線”は犯罪の大きな抑止力になっています」(京師さん)