【ADVICE】オプションこそ気をつけるべき
たとえば3000万円の家を買ったとき、新規でエアコンを付けるのに20万円しても、それほど高額に思えないように感じる。そこにどんな心理が働くのか?
「故障したエアコンを買い替えるために20万円払う場合、その出費は非常に大きいと感じますが、家を買う3000万円の出費が20万円増えても、プラス分を実感できないレベルです。喜び、満足、悲しみ、不満において、その量が増えるにつれ、変化の感覚が鈍ってしまうのです。支払い額が増えても、その分の痛みがなければ、お金を気軽に支払ってしまいかねません」(マーケティング&ブランディングディレクターの橋本之克さん)
それは車や家などに限らず、数万円単位でも起こる。
「たとえば1万円の時計を購入するときに500円のお手入れセットをすすめられたら、つい財布のひもがゆるむ。1万5000円のセーターを買ったとき、合わせて提案されたスカーフやアクセサリーがお手頃な価格なら、つい買い足してしまう。これも同じ心理状態です」(マーケティング&ブランディングディレクターの橋本之克さん)
オプションこそ気をつけた方がいい、とファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは語る。
「ひとつの買い物に紛れて不要なオプションをつけようとするケースも多いので、ほかに安くなる手段はないか、手持ちの品で代用できないかと考える癖をつけましょう」
【プロフィール】
野原広子/「オバ記者」の愛称で知られる。1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
橋本之克さん/マーケティング&ブランディングディレクター。昭和女子大学 現代ビジネス研究所研究員。近著に『9割の買い物は不要である』(秀和システム)。
丸山晴美さん/消費生活アドバイザー、節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー。著書に『「貯まる女」になれる本』(宝島社)など。
文/野原広子 取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2021年12月9日号