投資情報会社・フィスコが12月6日~12月10日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は下げ渋りか。新型コロナウイルス・オミクロン株の感染状況やワクチンの有効性が注目され、感染拡大を警戒して米長期金利は伸び悩み、リスク選好的なドル買いは抑制されている。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和の縮小ペースを速める可能性があること、パウエルFRB議長は資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の加速を検討するべきと発言し、インフレの高進は一過性との従来の認識を改めており、2022年の米利上げ確率は再び上昇していることから、リスク回避的なドル売りがさらに拡大する可能性は低いとみられる。
南アフリカで新たに検出された変異オミクロン株は感染力が強いとされ、従来のデルタ株などに使用されているワクチンの効用については懐疑的な見方も示されている。しかしながら、南アフリカ国立感染症研究所の調査によると、ワクチン接種者や再感染した人の症状は軽い傾向にあるとの結果も出ている。現時点で深刻な感染被害は報告されていないことから、オミクロン変異株の感染拡大に対する警戒感が一段と高まる可能性は低いとみられる。
なお、FRBは12月14-15日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利の据え置きを決定する公算。同会合では、来年に向けた当局者の金利見通しが注目される。足元のオミクロン株のまん延を想定した慎重姿勢が強まればドル売りの要因となるが、FOMCに先立って発表される消費者物価指数(CPI)は、依然として高水準が予想されている。11月実績が市場予想を上回った場合、インフレ進行を警戒してドル買いは維持される展開となりそうだ。
【米・新規失業保険申請件数】(9日発表予定)
9日発表の米新規失業保険申請件数は、経済正常化を裏付ける要因として注目される。11月には一時20万人を下回るなどコロナ危機前の水準に戻し、改善のトレンドが維持できればFRBの引き締め加速の思惑につながる。
【米・11月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の米11月CPIについて、10月実績は前年比+4.6%と高い伸びを記録している。11月のコアインフレ率は10月実績に近い水準になると予想されているが、10月実績を上回る物価上昇率となった場合、2022年における米利上げ確率は上昇するとの見方が多いようだ。