加えて、「石油の貯蔵タンクをつくるトーヨーカネツ、製油所のメンテナンスを手がけるレイズネクストにも波及する可能性は高い」と藤井氏は見る。さらに、藤井氏が注目するのは「商社」だ。
「ここに挙げたなかでも、原油だけではなく幅広い事業ポートフォリオを持つ商社に分があると見ています。たとえば三菱商事は資源、食料、機械、さらには再生可能エネルギーまで幅広く手がけ、どの分野が伸びても収益チャンスが拡大する。原油価格次第では、ここから2~3割の株価上昇も望めるでしょう」(藤井氏)
岡山氏は、産油国からの受注増加を見込んで日揮ホールディングスなどのプラント関連のほか、「非鉄金属」にも目を向ける。
「原油高でインフレが進む機運が高まると、銅やニッケル、金などさまざまな産業分野で利用される非鉄金属市況も上昇する傾向があります。住友金属鉱山、三井金属などの非鉄金属セクターも狙い目と見ています」
そして、意外な銘柄にも要注目だという。
「家庭用ミシン最大手のジャノメは、ロシアや中東などの産油国でも大きなシェアを誇る。特にロシアではトップシェアであり、原油高でロシアの経済力と個人消費が高まれば、同社のミシンの販売増が期待できます。海外でたばこ事業を拡大するJTもロシアではシェア約4割の最大手となっており、ロシアの個人消費の拡大が同社の業績に寄与することが期待されます」(岡山氏)
原油高に伴う値上げラッシュを恐れているだけでは道は開けない。逆手にとって儲けるチャンスは、思わぬところに転がっている。
※週刊ポスト2021年12月17日号