原油高騰が懸念されている一方、株式市場では「原油高メリット」関連銘柄に注目が集まり始めている。
コロナ収束に向けた最終段階で、世界経済の回復基調に水を差したのが原油高だった。日本国内でも1リットル=170円に迫るガソリン価格だけでなく、鉄鋼製品やプラスチックなどの消費財、小麦粉や大豆といった食料品でも値上げが相次いでいることが話題となった。原油価格高騰の背景をマーケットバンク代表の岡山憲史氏が解説する。
「世界経済の回復基調に伴い、原油需要が大幅に増加するとの期待から投機筋による買いが拡大。OPEC(石油輸出国機構)加盟国やロシアなどの産油国が減産を維持していることもあり、需要が供給を上回る状況が続いているのです」
そんな矢先、新たなコロナ変異株「オミクロン株」が発生。11月末からは株価、原油価格ともに下落傾向が目立った。だが、これも「一時的」なものであるとの見方が広まっている。
「『脱炭素』に向けた原油需要減少の大きな流れがある以上、産油国は収益源の先細りを加速させる増産には簡単に踏み切れない。冬を迎え石油の暖房需要が高まることを踏まえれば、原油価格は過去の高値水準である1バレル=120~130ドルになってもおかしくない」(カブ知恵代表の藤井英敏氏)
今後も原油高が見込まれるなら、むしろそれにあやかる方法もある。「原油高で上がる株」への投資だ。
「オミクロン株の発生に市場は一時的に過剰反応を示していますが、原油高基調が続く以上、その恩恵を受ける銘柄の株価上昇はまだまだ期待できる。むしろ一時的に下がっているいまこそ『原油高で上がる株』を安く買える絶好のチャンスといえるでしょう」(前出・岡山氏)
具体的にはどのような銘柄か。
「基本的には価格上昇が直接的な収益向上につながる『石油元売り』や資源の権益を持つ『商社』、生産に欠かせない『プラント』関連など“川上に近い”企業が最も恩恵を受けやすいでしょう」
そう語る藤井氏と岡山氏が厳選した「原油高で注目の20銘柄」を別表にまとめた。
まずイメージしやすいのが、売り物である原油の価格上昇が収益に直結する「石油元売り」関連だろう。原油・ガス開発生産で国内最大手のINPEX、石油元売り1位のENEOSホールディングス、同2位の出光興産などは、原油高が追い風となるのは間違いないと見られている。