教育費・介護費・家のローンなどが一気に振りかかる“大支出期”の50代。2019年の厚生労働省の調査によると、50代の2人以上世帯の平均所得金額は756万円あるものの、21.8%が貯蓄ゼロだという。もし50代で貯金ゼロになったら、どう立ち向かうべきか。専門家が「自分事」としてシミュレーションしてくれた。
まず、固定費として大きな家賃はどのように見直す必要があるだろうか。シングルマザーの節約アドバイザー・丸山晴美さんは、「私なら引っ越す」と話す。
丸山さんは、東京郊外にローン完済済みのマンションを所有しており、現在は賃貸に出している。そして、自身は都内の民間賃貸に子供と暮らしている。
「貯金がゼロなら固定費を節約したいので、都心のマンションからは引っ越すと思います。その後の選択肢は、【1】所有するマンションに戻る。【2】新潟県の実家に戻る。【3】東京郊外に安く物件を借りる──の3つ。両親がいつまで健在かわからないので、現実的には、固定資産税や管理費など、毎月の維持費が3万円で済む、【1】を選ぶと思います」
持ち家があるなら、売却してまとまった現金を手に入れる方法もあるが、丸山さんは“売却はしない派”。
「築20年の物件なので、売るならいまですが、売ったら教育費などに使っちゃいそう(笑い)。それなら、貯金が底を突いたときや、老後の住まいとしてキープしておきたいですね。いわばセーフティーネットです」
老後の住まいも「施設に入らず自宅に住む」と丸山さん。
「有料老人ホームは高額ですし、割安な特別養護老人ホームは入所待ちが予想されます。仮に70~90才までの20年間、月額15万円の高齢者施設に入所する場合、50才から70才までの間に、単純計算で毎月15万円は貯金をしなければなりません。そう考えると、月3万円の維持費と固定資産税で済む、持ち家に居続ける方を選びます」