2020年12月に実施された「肉マイレージカード」のシステム変更も、愛好家たちにとっては“改悪”だと批判されたが、今回の値上げのほうがショックが大きいという声もある。都内在住の会社員・松原さん(仮名、30代女性)は言う。
「肉マイレージシステムは改悪部分があった一方で、来店回数で“タダ肉クーポン”がもらえるようになったメリットもあって、それが足を運ぶモチベーションになっていました。でも、値上げとなると話は別。正直言って、いきなり!ステーキと同じくらいの価格帯で、店内がもっとゆったりしているステーキハウスもあるし……ある程度安いと感じていたからこそ、通っていたのは事実なんですよね。やはり、いきなり!ステーキには安くあってほしいですね」
オーダーカットの単価も値上がりしている
いきなり!ステーキでは、「リブロースステーキ」「サーロインステーキ」「ヒレステーキ」において、定量カットのメニューのほかに、希望のグラム数を量り売りでオーダーすることが可能だ(281g以上)。そして、その量り売りの単価も値上げしている。
2020年12月のメニューリニューアルの際には、「リブロースステーキ」が1グラムあたり7.59円、「サーロインステーキ」が1グラム8.25円、「ヒレステーキ」は1グラム9.9円だった。しかし、今回の値上げで、「リブロースステーキ」が1グラム8.68円、「サーロインステーキ」が1グラム9.35円、「ヒレステーキ」が1グラム11.55円となったのだ。
「2020年の値上げの前なら『リブロースステーキ』は1グラム7円程度だったので、段階的にどんどん値上げしていることがわかります。ちなみに、160gなどの少ないグラム数の定量カットメニューのほうが、1グラムあたりの価格が高めに設定されています。つまり、オーダーカットでより多い量を食べたほうが、割安になる価格設定なんです」(小浦氏)
「リブロースステーキ」の定量カットメニューの価格を見ると、160gが1518円、220gが1969円、280gが2420円だ。それぞれの1グラムあたりの価格を計算すると、160gが9.49円、220gが8.95円、280gが8.64円となる。281g以上のオーダーカットの1グラムあたりの価格は8.69円なので、160gと220gの定量カットオーダーは単価が割高になっていることがわかる。
「いきなり!ステーキでは、少ない定量カットよりも、『リブロースステーキ』などを280g以上食べたほうがお得だという計算です。そもそもいきなり!ステーキは“安さ”が大きな魅力だったはずなのですが、安いメニューの『ワイルドステーキ』が大幅値上げし、高いメニューのほうが“割安”になっている。そこに違和感を覚え、ショックを受けている愛好家たちは少なくないのではないでしょうか」(小浦氏)
原材料の高騰という避けられない事情があるとはいえ、今回の値上げの影響は小さくなさそうないきなり!ステーキ。大ブームになった数年前のような状況に戻る日は来るのだろうか。