いつ、大きなけがや病気になるかわからないし、認知症やコロナにかからないとも限らない。もしものために備えておくのは当然のこと。だが、営業職員に言われるまま契約した生命保険・医療保険では、むしろ損になることも。
生命保険は「生涯で住宅の次に高い買い物」といわれるが、本当にそれだけのお金を払う価値があるのか。業界事情をよく知る現役生保レディーのA子さん、保険代理店支社長のB男さん、保険代理店を営むC太さん、大手保険会社派遣社員のD美さんの4人に“本音”を聞いた。【全4回の第3回。第1回はこちら】
終身保険はほとんど「元本割れ」する
生命保険のセールスでよく言われる「年金なんてあてにならないから、個人年金保険や終身保険で備えましょう」「保険は貯蓄になりますから」というフレーズ──これはなんでもかんでもうのみにしてはいけないようだ。
A子:特にいまは超低金利だから、終身保険は全部元本割れだと思ってもいいくらい。そもそも保険を解約して戻ってくるのは「解約返戻金」で、払ったお金から付加保険料が引かれているから、「払った保険料が戻ってくる」という認識から間違っているんです。
もちろん、長期で加入し続ければ元本割れしない商品もありますよ。でも、「加入から50年以上経ってから解約してようやく元が取れる」くらいで、利率なんて微々たるもの。その間の物価の上昇も加味すれば、結局マイナスですよ。この超低金利の時代に、お得な終身保険があるなら、私が入りたいくらい(笑い)。
〈例えば、引受基準緩和型の終身保険100万円に、60才から月額3700円を払ったとすると、その後30年生きた場合、支払うのは約133万円強になる。しかし、90才で亡くなったときに入る保険金は100万円。33万円の損だ。こうした“長生きして損するパターン”が典型的だという〉