かつて国税庁が発表していた「長者番付」は、所得税額1000万円を超える納税者の名簿を公示する制度で、これに基づいて高額納税者の順位が明らかになった。著名人などのランキングも作成されたが、個人情報保護や犯罪抑止などの観点から2005年(2004年分)の発表を最後に長者番付は廃止された。
大金持ちの実像が見えなくなってから約17年、現代の「億万長者」とはどんな人たちなのか。『経済界』編集局長の関慎夫氏がその定義を語る。
「有価証券報告書に記載される1億円以上の報酬があった人が、高額所得者としてよく報じられます。しかしそれはあくまで企業からもらう報酬といういわば“給料”にすぎず、多額の税金もかかります。実質的な資産を推し量るには、保有する『株式』と、その『時価総額』を見るのが世界的な潮流です。テスラのイーロン・マスク氏も保有株の時価総額の大きさから、『世界一の資産家』と呼ばれています」
そこで上場企業約4000社の決算書や大株主の情報などを整理する企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」の協力のもと、上場企業の有価証券報告書から個人の大株主を抽出、保有株の時価総額の上位100人をランキングにした。
「新・長者番付」からは、現在の日本経済を引っ張る人物たちの“勢力図”が見えてくる。