「社長室なんていらない」
ランキング上位に名を連ねるのは、日本を代表する経営者の面々だ。保有金額4.9兆円で堂々のトップに輝くのは、ソフトバンクグループ社長・孫正義氏。2.4兆円で2位につけたのは、ファーストリテイリング社長・柳井正氏だった。
3位はセンサーメーカーのキーエンス名誉会長・滝崎武光氏。孫・柳井の両氏に比べてメディアへの露出が少なく、謎めいた存在だ。
「利益率が5割超という驚異の会社を創業した敏腕経営者でありながら、表舞台には一切出てこない。10年以上前から米『フォーブス』誌の世界長者番付にも登場しているが、滝崎氏の肉声を聞いたことがある人はほとんどいません」(関氏)
4位の日本電産会長・永守重信氏や9位の楽天グループ社長・三木谷浩史氏、21位のABCマート元会長・三木正浩氏らは有名企業の創業者で、自ら興した会社の急成長で資産を大きくしたことがわかる。
ちなみに三木谷家からは、米ボストン大学修士号を持つ才媛の妻・晴子氏も16位にランクイン。その他にも上位には有名経営者の妻の名前が見られた。そんな財界の重鎮らが並ぶなか、“新鋭”の名前も散見される。
8位のメルカリ社長・山田進太郎氏は44歳にして、トップ10入り。ネットで個人同士が物品を売買するサービスを提供するメルカリの創業者で、早大在学中に楽天でインターンをした経験を持つ。
IT企業創業者ながら、内向的な一面もあるようだ。山田社長を取材した経験を持つフリー編集者の漆原直行氏が指摘する。
「中高生の頃は一人でゲームをして、ヘビメタを聴くのが好きなインドア少年だった。読書も大好きで、村上春樹や村上龍の小説や、歴史書や哲学書を好んで読んだ。とくにニーチェに衝撃を受けたそうです」