同じ文脈で注目されるのが、楽天メディカルに個人で167億円を出資した楽天グループ社長・三木谷浩史氏だ。
「父親がすい臓がんになった三木谷氏は世界中の治療法を探した際に光免疫療法に出会い、楽天メディカルを設立して個人的な出資を重ねました。すでに光免疫療法は新たながん治療法として実用化され、次世代のノーベル賞候補と目されています」(大西氏)
人知れず趣味と社会還元を両立させたのは、94歳になる大正製薬名誉会長・上原昭二氏(65位)。上原氏の財団が運営する上原美術館の主任学芸員・土森智典氏が語る。
「上原さんは西洋絵画を好み、モネやルノワール、ピカソなどの作品を趣味で集められました。古希を迎えた際、多くの人に絵画を楽しんでもらおうと自身のコレクションを100点ほど寄付し、美術館ができました」
バブル期などにオークションで世界的な絵画を蒐集しながらも、上原氏の名前が美術界に知れ渡ることはなかったという。
「美術品の世界は、著名な買い手になると、売る側が作品にプレミアムをつけたり贋作が回されることがある。そうした混乱を避けるため、上原氏は懇意の画商に買い付けを任せていたのだろう。市場に出せば20億円はする作品もあるが、本当の富豪は表には出ないものです」(美術品関係者)
稼ぐ額も使い途も、浮き世離れした世界である。
【ランキング表はユーレットが11月末までに公表された上場企業約4000社の有価証券報告書から保有金額などをデータ化した「大株主ランキング」を基に、本誌が作成した。表の「保有金額」は、ユーレットが有価証券報告書の「最高株価」に持ち株数をかけて算出。「肩書き・続柄」は一部省略して記載。肩書きや年齢などは本誌調べ。肩書きが不明な場合は保有する株式の銘柄を記した。不明な場合は「─」とした】
※週刊ポスト2022年1月1・7日号