かつて国税庁が発表していた「長者番付」は、所得税額1000万円を超える納税者の名簿を公示する制度で、これに基づいて高額納税者の順位が明らかになった。個人情報保護や犯罪抑止などの観点から2005年(2004年分)の発表を最後に長者番付は廃止された。
この年は異例のランクインがあった。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「IT関連が隆盛のいまと比べると、消費者金融や健康食品などの販売業で稼いだ経営者が目立ちます。この時すでに3位に入っているファーストリテイリングの柳井正氏のような人もいますが、この年は総合ランキング1位が、“サラリーマン”だったことで注目を集めました」
その人物こそ、投資顧問会社・タワー投資顧問の「部長」だった清原達郎氏だ。清原氏は、東大卒業後に野村証券に入社。米国の大学でMBAを取得後は外資系金融機関を渡り歩いた。
当時の推定年収は100億円とも言われ、「スーパーサラリーマン」として時の人となったが、数年前に「咽頭がん」を患い声帯を除去。表舞台から姿を消した。現在はどうしているのか。
「清原さんは表に出たがらないですからね……」と話すのは、同氏と旧知の間柄のジャーナリストだ。匿名を条件に、清原氏の近況をこう明かす。
「現在も元気に投資活動をしていますよ。最後に会ったのは退院後のお見舞いで2年くらい前ですが、今もメールのやり取りをしています。株や投資の話が多いが、経済事件が起きると状況を問い合わせてくることもある。最近はSBIの新生銀行に対するTOBについて質問されました」