「文化人部門」の1位には、2009年に亡くなり、今年になって画商らによる「贋作流通騒動」が話題になった日本画の大家・平山郁夫氏がいる。実弟で平山郁夫美術館(広島県尾道市)館長の平山助成氏が語る。
「2004年は2回目の東京藝術大学学長を務めていた頃で、多忙を極めていました。この頃は自分が描きたいものを描けばいくらでも売れる状態で、手元に作品が残らないほどでした。長者番付にも毎年のように載りましたが、贅沢な食事をするわけでもなく、生活は質素でした。稼いだお金も国内外の文化財保護に寄付し、見返りは求めない。お金にきれいな人でした」
一方、17年の間で状況が様変わりした人もいる。総合67位の藪本雅巳氏(納税額は3億8390万円)は大阪府に拠点がある医療法人「錦秀会」の前理事長だが、2021年10月、日本大学医学部付属病院の建て替え工事をめぐる背任事件に関与したとして東京地検特捜部に逮捕された。
栄枯盛衰は世の習いであり、億万長者たちの行く末もそれぞれである。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号