喪主は祭祀承継者のような法的身分ではなく、葬儀の主宰者として寺に法要を依頼し、葬儀業者に必要な手配を発注するなど、金銭的支出を伴う活動をし、その支払い義務も負い、会葬者からの香典を受け取る立場です。そこで例えば、喪主になった長男が支払った葬儀費用が相続財産では補填できないと、祭祀承継者に指定された次男との間で費用の負担を巡り、争いになることも考えられます。
加えて希望しているような葬儀を次男が行なえるのか、また、葬儀の後の位牌や遺骨の扱いも、気になるところ。今のうち、次男に葬儀の喪主を依頼し、その進め方や費用、その後の事務についても、相談しておくべきでしょう。
長男にも、無駄な争いを避けるべく、次男を喪主にさせることを通告しておくのがよいと思います。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年1月1日・7日号