橘氏が指摘したように、「持ち戻し期間」(贈与者が死亡する3年前までの生前贈与は相続財産に加算される制度)の延長も現実味を帯びている。
「暦年贈与の制度が廃止され、贈与の持ち戻し期間が10年になった場合でも、60代の人なら相続までに時間的な余裕がある。少しずつ贈与を行なえば、低い税率で相続財産を圧縮する対策が可能です。一方、70代を過ぎ『将来が不安だから』と贈与で一気に財産を減らすのが得策かは一概には言えない。所有する財産の額により判断は変わるので、慎重な見極めが必要です」
橘氏は今後、制度が変わった後も、「生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人数)の活用は有効」と指摘する。
「たとえば相続人が子供2人の場合、一時払い終身保険に死亡保険金1000万円、保険料1000万円で加入したとすると、保険料分がまるまる相続財産から減らせることになります」
限られた時間のなかで有効な対策を講じたい。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号