効率的に歯垢を除去でき、虫歯や歯周病対策として使っている人も多いであろう「電動歯ブラシ」。最近はアプリとの連携で磨き残しをサポートする機能を実装した商品も登場するなど、その進化は著しい。そうした中で、電動歯ブラシを使用していたのに、従来の手磨きに戻ってしまったという人もいるようだ。どういった事情から、機械に頼らなくなったのだろうか。元・電動歯ブラシユーザーたちが、「私に合わなかった理由」について語ってくれた。
歯医者に行くと「強く磨きすぎ」と言われた
フリーランスデザイナーの30代男性・Aさんは仕事柄不規則な生活から間食する機会が多く、歯磨きもやったりやらなかったりと“いい加減”だった。
「若い頃から歯のメンテナンスをしていないと、高齢になってから治療にお金がかかることが多いと親から言われていました。このままでは、虫歯だけでなく歯周病も心配だったので、手動より効率的で、細かい歯垢も取れそうな電動歯ブラシの購入を決めました」(Aさん)
最初のうちはその磨き心地に感動することも多かったというAさん。ネットショップで買った評判の良い電動歯ブラシに満足していた。
「磨き上がりが、手動よりもさっぱりした爽快感があったので、『やっぱり時代は電動だなー』と実感。良い買い物をしたと思っていました。それまでは1日に1回しか磨かない日もあったのに、それが嘘のように、まめに磨くようになりました」(Aさん)
ところがその1か月後、Aさんの身に異変が起き始めた。咀嚼すると奥歯に痛みを覚えるようになったが、Aさんは「親知らずが痛み出した」と思っていた。しかし、次第に奥歯とともに前歯にもしみるような痛みを感じるようになり、いよいよ我慢できず歯医者に駆け込んだ。
「親知らずって水もしみるほど痛かったっけ? と疑問に思いながら歯医者に行きました。レントゲンを撮ると親知らずは関係なく、虫歯もない。でもお医者さんに電動歯ブラシの使用を伝えると、それが原因で『知覚過敏』になったのではないかと診断されました。曰く、『電動なのに強く磨きすぎ』とのこと。『歯茎が少し下がっている』という状況も指摘され、悲しくなりました。使い方は本当に注意ですね」(Aさん)
歯医者からは「電動歯ブラシを歯に強く押し付けてしまうと、歯や歯茎にダメージを与えてしまうので、注意してください」とアドバイスを受けたという。Aさんは現在、電動歯ブラシに知覚過敏ケア用の歯磨き粉をつけ、“手動”で優しくブラッシングしているという。