【国土強靱化】
これはインフラの老朽化が進んでいるので、仕方がない。やって当たり前である。だが、雇用創出以外の新たな経済波及効果はないので「経済対策」ではない。
【看護師、介護士、保育士らの給与引き上げ】
岸田政権の経済対策の中で唯一評価できるのがこれだ。東京女子医科大学病院で約400人の看護師が辞職を表明した例を見るまでもなく、当然の判断である。
ただし、その引き上げ額は、看護師が「地域で新型コロナ対応など一定の条件を満たす医療機関で勤務」しているケースで段階的に3%・年間14万円程度、介護士や保育士、幼稚園教諭は3%・年間11万円程度にすぎない。もっと大幅に引き上げるべきである。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2022~23』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『稼ぎ続ける力 「定年消滅」時代の新しい仕事論』等、著書多数。
※週刊ポスト2022年1月14・21日号