アメリカは今年テーパリング(量的緩和縮小)を終了させ、コロナ・ショック以降の金融政策からの転換を図ろうとしている。もし政策金利の利上げが行われた場合、株式市場にどのような影響を与えるのだろうか。カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、利上げ後の相場について分析する。
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現在、アメリカで新型コロナウイルスの新規感染者が増加する中、ニューヨーク市長は“ウィズ・コロナ”のスタイルで対処すると表明しており、世界各国でもコロナを抑え込む方向から、共存する道へとシフトし始めた国が増えているようです。アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は、コロナ感染拡大に起因する世界のサプライチェーンの混乱、そこから引き起こされた物価高騰の対応に苦慮しています。こうした状況もあって、マーケットのコンセンサスとしては、「FRBは今年中に政策金利を3回引き上げるだろう」と予想する声が多いようです。
一般的に、政策金利の引き上げは過熱した景気を抑えるために行うものであり、金利の引き上げは株価の下落に繋がっていくと言われています。しかし過去の利上げ後の相場を振り返ると、そうしたセオリーと異なるケースもありました。
前回、アメリカが政策金利を引き上げた2015年からの2年間、株価は上昇しています。もう少し細かく言うと、利上げ2回までは株価は上昇し、3回目の利上げで調整が入りました。必ずしも「政策金利の引き上げに伴い、毎回株価が下落する」というわけではないので注意したいところです。そもそも政策金利の引き上げは株価が上昇しているタイミングで行われるため、その時点での景気が悪いわけではありません。政策金利を少し引き上げたところで、大きな影響が出ないこともあるのです。
では、マーケットの予想通り、もし今年中に3回利上げされた場合、株式市場はどう推移するでしょうか。私は、仮に6月・9月・12月に利上げが実行されるとしても、7月くらいまでは株価が好調に推移するのではないかと見ています。「夏枯れ相場」が本格化する夏季休暇シーズンは株価が調整しやすい時期でもあるため、そのタイミングでいったん下落する可能性があると見ています。