いわば自動車の「家電」化だが、米アップル社もスマホ同様にそうした戦略でEV参入を目指していると見られており、ソニーカーのライバルは「アップルカー」になるかもしれない。経済ジャーナリストの片山修氏もこう語る。
「どの日本企業もGAFAには勝てないと言われるなか、世界でGAFAに匹敵する実績をあげてきたのはソニーしかありません。今でもソニーのブランド力はケタ違いに強く、ソニーがEVを作るというニュースは世界を駆け回った。だから日本でアップルに勝てるとしたらソニーブランドしかない」
しかも、トヨタとソニーのEVは競合しない。
「トヨタが作るEVは自動車メーカーらしいEVですが、ソニーが作るであろうEVは一種の“家電”なのです。市場が違うから競合しない。ソニーの吉田社長も『モビリティを再定義するクリエーティブ・エンターテインメント・カンパニーになる』と語っている。だから、これから出てくるアップルカーに対抗できるソニーのEV参入は、日本の産業の未来にとっても考える以上に大きな意味を持ちます」(片山氏)
世界的企業が鎬を削るEV市場を、トヨタとソニーのタイプの違うEVが席巻していく。国内での競争力が高まることによって、日産やホンダといった他の自動車メーカー、多くの関連企業の底上げにも繋がっていく。
そうなれば、間違いなく日本の経済成長、産業復活の牽引車となり、再び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と謳われる日が近づいてくる。
※週刊ポスト2022年1月28日号