お金持ちが集まれば、その街には彼らをターゲットにした高級志向のスーパーマーケットやブティックが建ち、さらに彼らが子供たちを通わせる、学費も偏差値も高い学校ができる。そうして、都心にはどんどん“憧れのスポット”が増えていき、さらにお金持ちが住みやすい街になっていき、広がっていくのだ。だが、本当に都心の店舗や学校が憧れるに足るものかどうかには疑問が残る。
「港区にある麻布高校が超難関校であることは間違いありません。しかし、東大入学者数が全国でダントツの開成高校は荒川区にあります。また、“港区にはディスカウント店がない”といわれますが、これは単に店舗の家賃が高いため、客単価が低い商売が成り立たないだけ」(池田さん)
都心にあるものがすべて、東京でいちばん素晴らしいとは限らないのかもしれない。前出・橋本さんの分類では、千代田、中央、港が都心で、それを基準に東および北は下町、西が山の手。微妙なところでは、板橋区は下町、練馬区は山の手に分けているという。住みたい街ランキング常連の吉祥寺は杉並区に隣接しているが、23区外の武蔵野市だ。
「武蔵野・三鷹エリアは、杉並区と同じ山の手エリアだと考えるのが妥当でしょう。井の頭公園など緑も多く、安らげる住環境と買い物などの利便性を兼ね、山の手の魅力がすべて詰まった土地です。しかし、都心で働く若い世代にとっては、武蔵野・三鷹は交通の便に欠ける。いまの若い共働き世帯には夫婦で年収1000万円を超える“パワーカップル”も多く、わざわざ23区外に住むメリットは見当たらない。『住みたい街ランキング』が変動したのは、こうした理由が大きいでしょう」(橋本さん)
※女性セブン2022年2月3日号