日本の株式市場が4月4日から大きく変わる。東京証券取引所(東証)は現在の1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する。再編の目的を東証はこう説明する。
「東証は4つの市場に分かれているが、各市場のコンセプトが曖昧でわかりにくいという課題がありました。また、企業にとって上場はゴールではなく、これからがスタートなのに、上場後の持続的な企業価値向上に向けた動機付けに乏しいというのも課題でした。そうしたことから、3つの市場に再編して各市場のコンセプトを明確化し、それぞれの企業に合った市場で活躍してほしいと考えたわけです」(上場部)
海外の投資家にすれば“この市場には業績の良い安定した企業が集まっています“といった市場のわかりやすさがあれば魅力につながり、投資もしやすい。今回の市場再編の最大の狙いはやはり、プライム市場創設によって海外投資家を日本に呼び込むことにあるのだろう。
さらに、東証再編による株式市場の拡大を後押しするのが、政府の過去最大の経済対策だ。岸田政権は「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」として55兆円規模の財政支出を決めた。その中には、「新しい資本主義の起動」として大学の研究開発促進を目的とした10兆円規模の大学ファンド創設をはじめ、半導体産業の再建に6000億円、AI(人工知能)や宇宙技術の開発など経済安全保障に5000億円が盛り込まれ、その他にも、カーボンニュートラル、災害対策の国土強靭化など様々な技術開発にカネを注ぎ込む。
そうした巨額の資金をテコに新たな技術、市場を開拓していく企業が次々に生まれ、グロース市場からプライム市場まで活性化させる。
経済アナリストの馬渕磨理子氏はそのような政策の後押しと株式市場再編は相乗効果をもたらすという。
「『国策に売りなし』という相場格言があるように、政策に沿ったビジネスを展開できる企業は、プライム、グロースの市場区分に限らず、今後も有望と見ています。加えていえば、グロース企業はプライムよりも時価総額などが小さい分、売買が集中すると大きな値動きになるため、より大きな株価上昇が期待できる」(馬渕氏)