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虐待疑惑を通報したいが「事実無根なら訴える」と反論 どうすべきか弁護士解説

虐待疑惑を通報して、逆に訴えられるケースはあるのか?(イメージ)

虐待疑惑を通報して、逆に訴えられるケースはあるのか?(イメージ)

「もしかしたら虐待かも」――子供の泣き声や親の怒鳴り声が頻繁に聞こえたら、そう考えてしまう人も少なくないだろう。しかし、児童相談所などへ報告したものの、虐待の事実が証明されなかったなら、通報者に何らかの責任が生じる可能性はあるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 近所で子供の泣き叫ぶ声が聞こえます。妻が先日、その家の両親に虐待を行なっているのではないか、と訊ねたところ、「役所にでも通報すればいい。でも、虐待の事実がなかったら、あなたを名誉毀損で訴える」といわれたそうです。通報した結果、虐待が確認されなかった場合、妻は訴えられてしまいますか。

【回答】
 児童虐待は、大きな社会問題です。なので、児童を虐待から守る2つの法律が国民に通告義務を課しているのです。まず、児童福祉法では、保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を「要保護児童」と定義し、要保護児童を発見した者に、児童相談所への通告義務を課しています。

 次に、虐待から児童を守る児童虐待防止法は、児童の身体に外傷を生じさせる暴行を加えることや猥褻行為、児童に食事を与えない、児童に対して著しい暴言を吐くなどを虐待と定義し、児童虐待を受けた児童を発見した者に、福祉事務所や児童相談所への通告を義務付けています。さらに、この法律では、現実に虐待を受けた児童だけでなく、「児童虐待を受けたと思われる児童」の場合でも、通告の対象になる、としています。

 頻繁に、狂ったように泣き叫ぶ声が聞こえることから、児童虐待を疑うのは、不合理ではありません。心配した奥さんに対し、その子の両親が泣き声の納得できる原因を説明せず、怒るだけだったとすれば、虐待を受けているのではないか、と思うのは仕方ないこと。

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