児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者には、法令に基づく通告義務があるのですから、通告しても、国民の義務を果たしたことになり、民事や刑事でも、責任を問われることはありません。
実際は、子供の泣き癖や躾であったりした場合に、仮に通告された両親が名誉毀損などの訴えを起こしたとしても、賠償を命じられることはないのです。
また、児童虐待防止法では、通告を受けた職員は「通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない」と定めてもいます。
通告は、職務上必要な範囲にしか伝わりません。奥さんが通告したことはわからないはず。心配しなくても、よいと思います。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年2月4日号