キャリア

若手社員への指導が最悪の結果に…「何も言えなくなった」上司たちの袋小路

「“彼女のため”って何なのか?」自問自答

 IT企業に勤める30代男性・Bさんは、学生インターン時代から働いている20代の女性部下に期待するあまり、指導に熱が入った。少しでも改善すべきことがあれば口にするようにしていたという。一方で、成果を出した時はしっかり褒めていたつもりだったが……。

「彼女には学生時代から憧れているIT起業家や広報の人物がいて、少しでもその存在に近づきたいというビジョンを持っていることを知っていました。そして新卒入社から3年後、念願かなって広報職に就きました。グループでの仕事が多かったのですが、彼女は単独行動というか、独断で動いてしまうことが多かった。その点を指導したり、憧れの存在に近づくためにはさらなる努力が必要だと、遠回しに伝えることもありました」(Bさん)

 しかしBさんの期待に反し、彼女は「朝起きられない」といった理由で仕事を休みがちになった。その後、人事との話し合いを経て別の部署に異動することが決定した。

「私の存在がストレスになり、人事に直接相談したようでした。新しい部署では、友達感覚で付き合える上司になついているようです。そんなことでは彼女のためにならないと思いましたが、では“彼女のため”って何なのか、と突き詰めて自問自答すると、確かに彼女の人生は彼女のもの。会社の人材としてみると、今後きちんと戦力になるかどうか、今のままだと微妙だとは思いますが、厳しく指導することでメンタルに悪影響を与えてしまうのは避けたい。以来、若手にはとりあえず褒めて、よっぽどのことがない限り、怒らないようなりました」(Bさん)

若手社員は「全部嫌がらせに聞こえる」

 こうした上司たちの指導について、若手社員はどう思っているのだろうか。広告代理店に勤める20代男性・Cさんは、「僕の会社の場合」と前置きしたうえで、こう話す。

「同期の男性社員が、『希望していた部署と配属された部署が異なるし、上司も面倒だからやる気が出ない』など愚痴ばかり言っていました。上司の何が面倒なのか聞いてみると、『挨拶しろ』とか、『飲んだあとの紙コップは捨てろ』といった生活面への注意が主。仕事についての指示も、そもそもやりたくない仕事なので、全部が嫌がらせに聞こえていたっぽいです。

 こういう『希望したことしかやりたくない』というのは、たしかに僕たち世代の共通認識としてある気はしますね。『自分らしく生きる』とか、言われすぎたんでしょうか(笑)」(Cさん)

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