文部科学省では、リタイアした人にも「生涯学習」を奨励するなど、政府が「学び直し」を後押しする昨今、資格取得のための勉強を始める人も多い。
資格を取る動機は人それぞれで、「賃貸契約のトラブル体験から法知識の必要性を感じ、行政書士の資格を取った」「自分自身の老後のためにもと終活アドバイザー講座を受講。人生を終わらせる際のビジョンが描け、大きな転機になった」「出産後の再就職のため、在宅で『調剤薬局事務』に挑戦。採用試験でアピールができた」など、様々ある。あるいは、「資格は、自分自身の努力が証しとして残る“財産”です」という人もいるだろう。
実際、資格は就職にどのくらい影響があるのだろうか? 通信教育大手の株式会社ユーキャンの山本裕美さんはこう話す。
「業務独占資格(その免許等を持つ人だけが従事できる資格)は別として、資格を取れば即仕事が見つかるというものではありません。たとえば、いま最も人気の高い『医療事務』の資格は、採用の必須条件ではありません。ただ、何も知らないよりは、医療事務の基礎を多少知っていた方が仕事を覚えやすいし、採用する側も安心感があるでしょう。『食生活アドバイザー』は、飲食店などで『食に興味がある人だな』と好印象を持ってもらえる可能性があります。『学ぶ努力をした』という姿勢が武器になると考えるといいと思います」
女性誌などでも活躍の場が多い「整理収納アドバイザー」も、実は3階級ある。2級・準1級までは在宅で資格が取れるのだが、その資格内容は、主に自宅や身近な人に向けた基本の整理収納知識。プロとして活動するには、より詳細で広範な知識が問われる1級の取得が必要だ。
2018年に整理収納アドバイザー1級を取得したわしずこころさん(45才)は、フリーランスの収納プロデューサーとして、個人宅の収納相談やセミナー、メディアなどで活躍している。
「もともと片付け下手でしたが、娘が生まれたのを機に『家族が住みやすい家にしたい』と、39才で整理収納に目覚めました。資格を取得する前から発信していた片付けブログに、徐々に相談が来るようになり、『もっと自信を持って伝えられるようになりたい』と、資格取得を決意しました」(わしずさん・以下同)