住まい・不動産

隣家の屋根に雪止めがない 落雪で自宅に損害を受けた場合、どう対処すべきか

大雪が降ったらどうなるのか…(イラスト/大野文彰)

大雪が降ったらどうなるのか…(イラスト/大野文彰)

 一年で最も寒いこの季節、降雪量の多い地域で心配なのが屋根からの落雪。思わぬ事故に発展することもあるため、雪止めを設置するなどして対処する家が多いが、もし隣家が何の対策も講じてくれない場合はどうすれば良いか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 隣家の屋根には雪止めがついていません。大量の雪が降った場合、隣家からの落雪がうちのテラスの屋根に直撃すると予想できます。しかし、隣家はこれまでもゴミ当番や回覧板のことで注意をしたことがありますが、逆ギレするタイプなのでかかわりたくありません。もし、落雪でテラスの屋根が壊れるなどの被害を被ったら、警察に連絡をすればよいのでしょうか。万一の場合に備えて対処の方法を教えてください。(埼玉県・50才・主婦)

【回答】
 民法では、建物のような土地の工作物が通常備えるべき安全性を欠いている状態を「瑕疵」といいます。瑕疵によって他人に被害を与えた場合、瑕疵がある建物の賃借人などの占有者がまず賠償責任を負い、占有者が注意をしていたときは、所有者はその責任を免れません(無過失責任)。

 雪止めがないことがその瑕疵になるかどうかですが、建築基準法に直接の規定はありませんが、北国の市町村では屋根の勾配や、隣地との境界線からの水平距離に対応して雪止めを設置する基準を定めている例があります。

 そうした基準がなくても、降雪があり得ない温暖な地域を別にして、屋根から隣家に落雪して事故になった場合、屋根に雪止めがなかったり、不十分であれば、建物に通常備えるべき安全性を欠いたものとして瑕疵があったことになり、建物の占有者または所有者は発生した損害の賠償責任を負うと考えられます。

 しかし、万全の備えをしても、落雪防止が困難になるほどの大雪になり、雪下ろしが不可能な状態であったとすれば、建物に瑕疵があったために起きた落雪事故とはいえず、被害があっても責任はない場合もあり得ます。

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