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在職老齢年金のカット見直しと在職定時改定 働く高齢者の「実質賃上げ」に

今年4月の年金制度改正は「働く高齢者」にとってメリットも大きい(イメージ)

今年4月の年金制度改正は「働く高齢者」にとってメリットも大きい(イメージ)

 今年4月から、年金を受け取りながら働く高齢者の収入が大幅アップする数々の年金制度改正が実施される。その1つが在職老齢年金の年金カットの見直しだ。

 現在、年金を受給しながら雇用延長や再雇用などで働く60~64歳のサラリーマンは、給料+厚生年金(報酬比例部分)の合計額が「月28万円」を超えると、超過分の半額が年金から減額される。月給30万円で年金額10万円なら、合計月収40万円になるはずが、年金が6万円減額され、月収34万円にとどまる。

 しかし、4月からは給料+年金の合計額が「月47万円」までなら年金は減額されなくなり、前述の場合、合計40万円がそのまま収入になる。手取りが月6万円の大幅アップだ。

 この改正で恩恵を受ける対象者(※注)は、厚労省資料によると全国で約26万人、追加支給される年金額は約3000億円に達する(2020年3月末時点の推計)。

【※注/65歳より前に特別支給の厚生年金が受け取れる人。男性は1961年4月1日以前の生まれ、女性は1966年4月1日以前の生まれ。それ以降の生まれでも厚生年金の繰り上げ受給(60~64歳)を選択すると対象になる】

 社会保険労務士・桐生英美氏が語る。

「在職老齢年金の減額制度は60歳以上65歳未満の人と65歳以上の人で差があり、働く意欲を削ぐと理解され、年金カットを避けるために再雇用などになっても勤務日数を減らすなどして給料を低く抑える人が少なくなかった。

 しかし、今回の改正で4月からはこの基準額が65歳以上の人と同じ金額になるので、雇用延長後もフルタイムで働きやすくなり、人口減少で労働力不足が深刻化する中、シニアが働きやすくなるのは明るい材料です」

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