日本には「世界シェア1位企業」が数多く存在するが、武者リサーチ代表の武者陵司氏は特に12社の企業が“リーダー”として日本経済を牽引していくと見る。次の「GAFAM」を担う日本のリーディングカンパニーはどこか。武者氏が解説する。
* * *
多くの人々が、インターネット社会になり「GAFAM(*)」に支配されたと考えています。しかし、ビジネスで競合しており高収益も永遠ではありません。またデータの独占的専有や周辺分野の買収は、独占禁止法により制約される恐れがあります。
【*GAFAM/米国の世界的IT企業「グーグル(G)」「アマゾン(A)」「フェイスブック(F)=現メタ」「アップル(A)」「マイクロソフト(M)」の5社の頭文字を取った略称】
焦点はより人間的なイノベーションに移っていて、プラットフォームに流れるコンテンツが大事です。世界に対抗できるビジネスモデルを持ち、日本の将来を託すのに十分な資格を持つ企業が台頭していると考えます。
そこで、「NEXT GAFAMを担うリーディングカンパニー」の12社を選抜しました。選抜の基準は、「時価総額が国内トップ20に入っている(2021年末)」「世の中の変化を先取りするビジネスモデルや企業理念を持つ」などです。
まずは時価総額約16兆円を誇るソニーグループ。数年前にパソコン部門を売り払いましたが、半導体部門は死守しました。「感動を届ける」を企業の使命として掲げ、劇的なV字回復を果たしました。映画やゲーム、音楽などのコンテンツから、それらを伝える技術まで持つのがソニーであり、そのことを可能にするのが自社の半導体技術です。ソニーは極めて一貫しており、そのようなビジネスモデルを確立した企業は世界に例がない。
同様に、ハード・ソフトの両面で強みを持つのが任天堂で、今や海外売上比率が8割超のグローバルプレーヤーです。