「女の子の理系は苦労するよ?」
理工学部出身の女性・Bさん(メーカー勤務、40代)は、数学や物理、建築に興味があったことから理系の進路を希望したが、教師と親から思わぬ言葉を投げかけられた経験を振り返る。
「男の先生から、『女子は数学ができない子が多いから、文系を勧めることが多い』と言われましたが、男性でも数学が苦手な人もいるし、イラっとしましたね。さらに、どういう意味なのかいまだにわかりませんが、『女の子の理系は苦労するよ』とか、親も『理系は勉強が大変っていうし、文系のほうがいいんじゃない?』と心配するし、まるで『女は文系に行っておけ』とでも言いたいかのような雰囲気でした」(Bさん)
そうした“逆風”を振り切って、理系に進んだBさんだが、高校時代に同級生だった男子が、「俺、女の子が多いから文学部に行こうかな」と言っていたことも思い出す。
「実際文学部は、文系のなかでも女性が多い学部。でも、目の前でそういうふうに言われて、いい気はしませんでした。『理系志望でごめんね~』と笑った思い出があります。まあ、本気で相手にしてませんけどね」(Bさん)
理系のレッテル貼りをしたい人たちからの言葉
理学部出身の女性・Cさん(大学勤務、30代)も、進路で理系を選択した時に親の本音を感じ取ったという。
「母親から『理系? 結婚する気ないの?』とか、『理系は理系でも、薬学がいいんじゃない?』と言われました。薬剤師は女性も多いというのと、なんとなく安泰なイメージがあったのがその理由だそうです。でも、そもそも結婚と結びつけるのが鬱陶しかったですし、別に薬学がやりたいわけじゃなかったので却下しました」(Cさん)
学生時代や社会に出てからも、理系女性への“偏見”はつきものだったという。
「学生時代は、文系学部に進学した友人たちから、『男が多いから逆ハーレムじゃん』とか、『男狙いなの?』みたいなことをさんざん言われました(笑)。実際はインカレのサークルも多いし、むしろ同じ学校の男子は恋愛対象として見ないことも多い。興味のある分野に進んだだけなのに、親も周囲も、どうしてすぐに恋愛や結婚と紐付けるのか、面倒でしたね。
さらに、社会に出ると『やっぱ理系の人って理屈っぽいよね』とか『理系女子は気が強い』とか言われたことがあります。理系のレッテル貼りをしたい人って多いんだなあと思いました。というか、研究職や技術職でもない限り、文系とか理系とか関係ないじゃないですか」(Cさん)