しかし、タカ派とされるセントルイス連銀のブラード総裁やカンザスシティー連銀のジョージ総裁でさえも最近は、金融引き締めは漸進的に進めることが望ましいとの考えを強調しており、多くのFRB高官は3月FOMCでの利上げ幅として0.5%は考えていないもよう。そのため、現在の市場が想定している以上のタカ派的なペースでの引き締めの確率は低く、相場が下値を固めてきているのも理に適った動きといえそうだ。
一方で、利上げとは別に量的引き締め(QT)については、こちらも実体経済に害を及ぼさないような漸進的な進め方が予想されるが、依然として開始時期やペースが不透明。相場は過度な懸念が後退し、最悪期は脱しつつあるものの、金融政策を巡る不確実性が完全には払しょくされていない。こうしたなか、15日には米1月生産者物価指数(PPI)、16日にはFOMC議事録(1月開催分)が発表される。
1月FOMC後のパウエル議長の会見では、具体的な発言が避けられ、市場のあく抜け期待を裏切る形で相場の深押しに繋がった。曖昧に終わった議長の記者会見からは得ることのできなかった、金融引き締めペースを巡るヒントを得ようと、市場の注目度は高いとみられる。すでに織り込み済み以上のタカ派サプライズな内容が示唆されることは考えにくいが、内容を見極めるまでは模様眺めの雰囲気が漂いやすいだろう。
その他の注目度の高いイベントも米国を中心に予定されている。16日には米1月小売売上高、米1月鉱工業生産が予定されている。小売売上高は12月に大きく減速し、景気減速懸念を強めた経緯がある。1月の結果がそうした懸念を払しょくし回復基調の相場を後押しするのか、それとも一段と懸念を強める内容となり、景気減速下での金融引き締めに対する警戒感が膨らんでしまうのか、非常に注目される。
また、16日にはエヌビディアやアプライド・マテリアルズといった半導体企業の決算が発表予定。足元、ハイテク・グロースの回復基調が強まるなか、決算内容がこれを後押しするのか注目だ。ポジティブな結果になった場合、バリューよりもグロースを選好するという、年始からのリバーサルが起こる可能性もあろう。
なお、今週は15日に10-12月期GDP速報値、米2月ニューヨーク連銀景気指数、米1月PPI、16日に中国1月PPI、中国1月CPI、米1月小売売上高、米1月鉱工業生産指数、米2月NAHB住宅市場指数、FOMC議事録(1月開催分)、17日に12月機械受注、1月貿易収支、米1月住宅着工件数、米2月フィラデルフィア連銀景気指数、18日に1月全国消費者物価指数などが発表予定。