2025年に日本社会は大きな転換点を迎える。「団塊の世代」の約800万人が後期高齢者となり、国民の「5人に1人」が75歳以上、65歳以上は人口の3割を超える超超高齢社会に突入する。30年前は「現役世代5人で高齢者1人」を支えていたのに、今から3年後には「現役1.8人で高齢者1人」を支えなければならなくなる。
政府試算によると、2025年、年金、医療、介護に関わる「社会保障給付費」は140.6兆円に膨れ上がるが、その負担のしわ寄せは後期高齢者となる団塊の世代も直撃する。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの北山茂治氏はこう言う。
「そもそも後期高齢者は現役世代に比べて5~7倍もの医療費がかかるとも言われます。医療の発展で平均寿命は延びましたが、病気がなくなるわけではありません。健康寿命が尽きて亡くなるまでの平均期間は、男性が約9年、女性が約12年です。病気をしながら長生きする期間がそれだけ長くなれば、この間に多額の医療費や介護費用がのしかかるということです」
そんな後期高齢者の身近なところで大きな負担となるのが医療費の“倍増”だ。今年10月から、一定以上の所得がある後期高齢者の医療費窓口負担が1割から2割に変更される。「年収200万円以上」の後期高齢者が“余裕のある高齢者”と見なされ負担増の対象となるが、この基準には年金生活を送る平均的な“元サラリーマン”の多くが該当する。そのインパクトは相当なものになる。
「厚労省の調査によると、75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担額の平均は、1人あたり年間約6万5000円。今後3年間は緩和措置がありますが、これが2割負担になれば、年間約13万円に増える計算となります」(北山氏)
しかし、医療費自己負担増はこれで終わりのはずがない、と北山氏は指摘する。
「まずは70~74歳までの医療費自己負担を現状の2割から現役並みの3割に引き上げ、その後、75歳以上についても同程度まで引き上げられる可能性は十分にあり得るでしょう。対象となる年収の基準が現在より引き下げられる可能性もあります」