ワシはドヤ顔やったが、見れば酔っ払いの隣に制服を着た先輩警官が倒れていた。酔っ払いをなだめていた先輩も一緒にぶん投げてしまったんや……。
そんな失敗もあったが、ワシは管内の犯罪をゼロにすべく、休みの日も構わずに働き続けた。一生懸命に捜査して結果を出し続ければ、念願の刑事になれると信じていたからや。一日も早く憧れの刑事になりたい――新米時代はそんなことばかり考えていた。
結局、交番勤務の「お巡りさん」だったのは最初の1年間だけ。
その後、念願の刑事となったが、休みもなく朝から晩まで駆けずり回った「お巡りさん」時代の経験は、刑事人生の確かな礎になった。ほなっ、また!
【プロフィール】
秋山博康(あきやま・ひろやす)/1960年7月、徳島県生まれ。1979年、徳島県警察採用。交番勤務、機動隊を経て刑事畑を歩む。県警本部長賞、警視総監賞ほか受賞多数。退職後は犯罪コメンテーターとして活動。YouTube「リーゼント刑事・秋山博康チャンネル」が話題。最新刊『リーゼント刑事 42年間の警察人生全記録』(小学館新書)が3月31日に発売予定。
※週刊ポスト2022年3月4日号