商標権をめぐっては世界で様々なトラブルが発生している。自社とは関係ない商品名やサービス名を無断で申請する事業者もいるというが、日本での商標登録のルールはどうなっているのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
昨年11月、中国で「小室圭」の名前が商標登録申請されたとのニュースを知り、驚いています。今後は私も話題になっている人物、ニックネームなどを率先して商標登録し、ビジネスに繋げたいと考えております。ちなみに、商標登録がNG、許可されない人物はいますか。やはり、「小室圭」の出願は無理でしょうか。
【回答】
扱っている商品やサービスが評判になると、商品に付けた商標(ブランド)も多くの人に知られ、商標で他の商品等と区別されて取引され、競争上も有利になります。また、登録されると、商標権が発生、登録商標を独占的に使用できます。
しかし、商品の出所を区別するという制度目的から、商品の普通名称や産地など、他人の商品等と区別できない商標は登録できません。加えて国旗など、一定の公的な標章や公序良俗に反するものも登録できません。勿論、他人の商品等の商標や、すでに出願された商標を真似した商標を類似商品等に使用する登録も認められません。
この他、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標」も、本人の承諾を得ない限り、登録できません。著名人でなくても、氏名は人物を特定できるからです。