女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さん(64才)には貯金の習慣がなく、80万円以上の貯金をしたことがない。いわく、「無駄使いしているつもりはない。気がつくとお金は出て行ってしまう」。財布からお金を出すとき、野原さんにどんな心理が働き、それが「貯金ゼロ」にどう繋がっているのか──行動経済学に詳しいマーケティング&ブランディングディレクターの橋本之克さんが教えてくれた。【全4回の第1回】
橋本さん:オバ記者さん、早速出題です! スマホケースを新調したいと探したらデパートで素敵な商品を発見。価格を見ると2500円。ところが……。
【Q1】2500円のスマホケースを買おうとレジに向かうと、「同じ商品が徒歩で15分離れた店に1800円で売っている」との情報が! さて、どうする?
オバ記者:それはまったく同じ商品なのよね!? それで700円も引いてくれるっていうなら、そりゃ安い方へ行くよねぇ。15分ぐらいなら歩くわよ。
橋本さん:では、次のような場合、どうしますか?
【Q2】5万円のブランドバッグを購入しようとした寸前、またまた「15分ばかり離れた店に4万9300円で売っている」との情報をキャッチ。さて、どうする?
オバ記者:それだと行かないかなぁ……。よし、この大物を手に入れるぞ!と覚悟を決めて財布を大きくガバッと開けたときに、なんでちっちゃいお金にこだわらなきゃいけないの!?って気分になるわよね。
橋本さん:同じ「700円引き」なのに、たしかにそういう気持ちになりますよね。
オバ記者:その理由は説明できますよ。さっきも言った通り、ブランドバッグを買おうと覚悟を決めたら、財布のひもを緩めるわけよ。さぁいくらだって払うわよ! と意気込んでいる私が、なんでわざわざ15分かけて安いところまで足を運ばなきゃならないの!? 「あの店で700円安く売ってるよ」なんて、この際、つまんない情報よ。
橋本さん:みみっちいこと言うな、ということですね(笑い)。