橋本さん:日本人の平均給与は「年間433万円」という数字があります(*国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」による)。
オバ記者:30年間、給与が上がってないのよね。だから年収200万円とか250万円とか。その人たちがどうすれば豊かに暮らせるのか。これがみんなの知りたいことだと思いますよ。
橋本さん:たしかにそうですね。岸田首相の耳に届くように話を進めましょう。たとえばスッカラカンのときに「1万円あげますよ」って言われたらうれしいじゃないですか。
オバ記者:そりゃそーだ。
橋本さん:でも、「10万円差し上げます」って言われて10万円を受け取った後に「1万円どうぞ」って言われても、喜びの度合いは減りますよね。
オバ記者:相当減るね。たっぷりと水があるときに、お水を差し出されたっておいしくないもんね。
橋本さん:その通り! 喉がカラカラのときは、なんでも最高においしいんですよ。
オバ記者:だから私は人が頼ってきたらお金を貸す、と決めているんです。だって私に借金を申し込んでくるなんて相当困っているはずよ。
橋本さん:気持ちがわかるんですね。
オバ記者:砂漠を歩いているときに水を差し出してくれた人への恩義は一生忘れないって話よ。明日のご飯の心配をしているときに1万円貸してくれた人のことは脳裏に焼きつきますよ。
橋本さん:実感にあふれる喩えですねぇ。
オバ記者:貧乏生活が長い私にとっての1万円は、世の中の1万円以上の価値に感じてしまうのよ。でも……なるほど、先生の言いたいことがわかったわ。人それぞれが持つ、お金の価値観は異なるけど、金額自体が変わるわけではない。だから、その時々の損得感情に左右されることなく、お金の出し入れを冷静にコントロールしなさい、ってことよね。700円の差を得に感じたり、そうでなかったり……ブレたりしない方がいいのね。そう思って振り返ると、財布を開くとき、私はやや感情的だったかもしれないわ。
(第2回につづく)
【プロフィール】
橋本之克さん/マーケティング&ブランディングディレクター。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。近著に『9割の買い物は不要である』(秀和システム)。
オバ記者こと野原広子さん/空中ブランコや富士登山など体当たり取材でおなじみのライター・野原広子。女性セブン連載『いつも心にさざ波を!』も好評。64才。
取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2022年3月3日号