定価100円チョコ100円引き」に惹かれるのは「確実性効果」の影響も
橋本さん:人は「100%」と「0%」という数字に敏感に反応します。別掲のグラフをご覧ください。横軸は実際に物事が起こる確率、縦軸は起こるかもしれないと感じる確率。それを0~100%で表しています。斜めに走る点線が実際に起こる確率と、起こると感じる確率が同じだという合理的な線。ところが実際の心理は、その上に描かれているような曲線になるんです。
オバ記者:点線と実線は一致しない。揺らぎがあるんですね。
橋本さん:揺らいでいます。特に揺らぎが大きいのが、始点と終点から少しずれたところ。たとえば1%や2%あたりがキュッと上がっている。
オバ記者:ホントだわ。
橋本さん:「その手術は絶対に成功する」とか「試験には必ず受かる」と保証されているなら、大丈夫と感じる確率は100%ですが、それがたった1%下がる、つまりは99%になるだけで心配でたまらなくなる。たとえば、「事故には99%遭わない」と言われると「100人に1人は事故に遭う」と思い、1%の確率から目が離せなくなる。1%の確率が実際の数より高く感じるのです。
オバ記者:宝くじを買う人と買わない人の心理も同じね。宝くじは、買わなかったら当たる可能性はゼロだけど、いざ購入したら、当たるわけないと思いながら気になって仕方ない。
橋本さん:その通りです。生命保険も同じです。日本人は特に保険が好きですが、毎月の引き落とし額をあまり気にしません。でも、掛け金が5000円だとすると年間6万円。5年続けたら30万円ですよ。意外と高いと思いませんか。
オバ記者:保険なんて“お布施”みたいなもんですから。
橋本さん:あはは。ほかの加入者が病気になったり事故を起こしたときに使われるので、誰かのためにはなっています。が、そういう考え方をしている人はまずいない。ただ保険に入っていれば安心だということで加入します。でも安心料としては結構高い。
オバ記者:そういえば、お金持ちは保険には入らないわよね。
橋本さん:そうなんです。お金持ちは貯蓄をして、万が一何かが起きたときの入院費は自分で払うんです。