近年、動画配信サービスは隆盛を極めている。メディア・パートナーズ・アジアが昨年10月に発表した調査結果では、アマゾンプライムビデオの国内加入者数は1460万人、Netflixは600万人に達した。メディア文化評論家の碓井広義氏が語る。
「テレビのネット接続率は40%を超え、国内で推定3400万人のテレビがネットに繋がっています。すでに10~20代は地上波テレビではなくネット視聴がメイン。動画配信サービスに特化したテレビが爆発的に売れるのは時代の必然です」
時流に乗って、大々的に「受信料不要」を喧伝するメーカーも登場した。
家庭用電気製品メーカーのSTAYERは「4K対応 43V型チューナーレススマートテレビ」を今年5月に発売する予定だが、公式サイトでは「地上波受信料不要」との宣伝文句が掲げられた。メーカー関係者が語る。
「受信料が必要な特定の地上波や衛星放送の放送媒体を意識しているわけではありませんが、消費者のなかには受信料に負担を感じられている方もいる。商品の特長を分かりやすく提示するため『地上波受信料不要』を謳ったと聞いています」
こちらも現在、問い合わせが殺到しているという。
受信料不要テレビがにわかに注目を集めるなか、大手電機メーカーは、今のところ参入していない。その理由を嘉悦大学教授で元内閣官房参与の高橋洋一氏はこう推測する。
「チューナーなしのテレビを生産するのは技術的には容易で、ニーズもあります。しかし大手メーカーは付き合いの深いテレビ局の反発を怖れているため、ネット専用テレビの製造に消極的なのでしょう。その間隙を縫って、ドン・キホーテが話題性のある商品を仕掛けてきたわけです」
※週刊ポスト2022年3月11日号