何歳から受け取るか
今回のセミナーでは、申し込み時に北村氏に聞きたい項目のアンケートを取った。幅広い年代から質問が寄せられ、なかでも多かった問いが「何歳から年金を受け取ればいいのか?」だった。まさに今年の年金改正も絡んでくる部分だ。
公的年金は原則として「65歳支給開始」だが、額が減らされる代わりに受給開始を早める「繰り上げ受給」と、逆に受給開始を遅くする代わりに額が増える「繰り下げ受給」がある。
生涯の受給総額は短命ならば早く受け取り始める「繰り上げ」が得になるが、逆に長生きするなら「繰り下げ」が得になる。北村氏はこの選択について非常によく質問を受けるとしたうえで、「これは自分の寿命を懸けたギャンブルのようなものなんです」と苦笑交じりに解説を進めた。
「いつ死ぬかはわかりませんからね……。よく言うのは、自身のご両親、あるいは祖父母の寿命から考えるということ。つまり、長生きの家系なのかを参考に考えてはどうですかと申し上げることが多い。
私の場合、父は89歳まで生きて、母は97歳でまだ生きています。たぶん100歳まで生きるんでしょう。祖父母も長生きだったそうで、どうも自分も長生きしそうです。先日、還暦を機に検査を受けたところ、成長ホルモンが出続けていて、20代に匹敵するほどだと言われました。どういうことかはよくわかりませんが(笑)、私は繰り下げたほうがいいのかもと思い始めています」
一般的には、男性のほうが寿命は短いため、「男性なら繰り上げもいいし、一方で(寿命の長い)女性なら圧倒的に繰り下げがいいと考えられます」とアドバイス。
今年の年金改正では、繰り上げの減額率が緩和され、受給開始を1か月前倒しにすると0.5%減額だったのが、0.4%減額に変わる。5歳繰り上げて60歳から受け取り始める場合、これまでは30%減額だったのが、24%減額へと変わる。
「ただし、対象となるのは1962年4月2日以降に生まれた方です。1961年11月生まれの私は対象外なんです……」
そう苦笑した北村氏。あわせて、これまで70歳までが上限となっていた繰り下げ受給が75歳まで繰り下げ可能になることが説明された。
そうした解説を踏まえ、「対策編」に話題は移る。